喜寿(approx.)の青年、還暦(approx.)の初老
09-20-2017 12:10 AM   
#1

現役バリバリな方には退屈かも、な所謂チラ裏なお話。



運動不足だなーということで、先日ちょいと坂を上ったところのダム湖に行ってきました。

畔に設けられた公園の木陰のベンチでパンを頬張りながら休んでいると、今時珍しい、めっきのイタリアンラグも眩しい、スマートなクロスバイクを押して、私より一回り以上も​先輩と思しき人物がこちらに。
以下、「師」と呼ばせていただこう。

師は、私の愛車を見ながら「ほー、ミニベロ。折り畳みだな…」と呟いていらっしゃる。

(これは話しかけないと失礼だな。)
y「こんにちは」

師「あっ、こんにちは。これはあなたのですか?」
y「ええ」
師「どちらから?」
y「〇〇の方からです」
師「〇〇! 国道で?」
y「いえ、△△経由で」
師「これで?あ、いや失礼。あちらからだとかなり急坂でしょう」
y「(笑いながら)そうですよ。その急坂さえ登り切ればあとはなだらかですから、一番軽いギアに落として、急がなければこれでも何とかいけます」
師「凄いですねえ」

とまあ、導入部はこんな感じ。

「横いいですか?」と言いながら師は私の横に腰掛ける。

お互いに名乗り合うタイミングは逸したが、御年75歳であるとか、娘さんが嫁いで今は独りだとか、初対面の私にプライベートなことを平気で話される。

師曰く、奪うものが無ければ、誰も騙そうなんて思わないから、警戒しないらしい。

私が言うのも失礼だが、知性あふれる話し方や、話題の端々から、かつて会社経営に(社長ではないかもしれないが)携わっていた方とお見受けする。
老人にありがちは、相手の話を聞かないとか、自分の考えを押し付けるという感じはまるでない。

最初に自転車に目覚めたのは、10年前にホームセンターで買った6段変速。
それを駆って往復70km、標高差100mの所まで出かけて、以来病みつきになったと。
今では、自転車の無い生活は考えられないと。

師がお持ちのクロモリパイプにイタリアンラグ輝くマシンは、ドロップハンドルをフラットバーに、チェーンリングのアウターを40Tにカスタムしたもの。
フレームの美しさに惚れ込んで、ショップの店主に頼んで組んでもらったと。
ホリゾンタルのラグドフレームなんて、昔乗っていた自転車のノスタルジーで格好よく見えるだけ、と思っていたが、経験10年の方にも美しく映るらしい。

いろいろお話を伺っていると、この方、すごい。ここで師と呼ばせていただく所以。

こちら(瀬戸内海側)から日本海にちょくちょく行っていらっしゃる。
馴染みの食堂があるT町までざっと110km。「いつもの」メニューにサービスが1品付くらしい。
師「◇◇峠知ってますか?そのルートがいいんですよ」
y「N温泉の近くでしょうか(車で近くまで行ったことがあるな)」
師「そうそう。N温泉の蕎麦屋もいい」

念願のK海岸は150kmの距離(師は確か130kmと仰っていたが)。3回目のチャレンジで念願を達成されたらしい。
師「K温泉からT海岸の海沿いルートで毎回挫折していました」
y「高校生のとき走りましたが、あそこは相当厳しいでしょう」
師「でもね、K温泉からT海岸にバイパスするルートを見つけたんですよ」
y「ああ、一度走ったことがあります(車で)」
師「そこを通って、T海岸で休んでいたら、海水浴の若い女性数人に話しかけられて」
師「最寄りの駅から輪行しようと思ってたのに、どこまで行くんですか?って聞くもんだから、思わずK海岸って言ってしまいましてね」
師「言った手前仕方なく、K海岸まで走ってしまいましたよ」
何歳になっても、女性の力おそるべし。
師「今度また行こうと思っています」

気が付くと、話し始めて2時間。お酒の席でもこんなに話したことは滅多にない。しかも今日は(当然)素面。
y「そろそろ帰ります」
師「帰りはどちらから?」
y「国道にしようと思っています」
師「それならいいコースを教えましょう。前走りますか?」
y「よかったら引っ張ってください」

後ろについて走ると、ペダリングが美しい。ちゃんと丸く漕げている。
ハンドルを左右に振ったりするような無駄も無い。
尤も、競技経験も無い私が人のフォームを云々するものおこがましいが。
聞けば、走り方を教わったこともスポーツ経験もないが、ペダリングは常に考えて走っていると仰る。

師「天気さえよければ毎日ここを通って40kmぐらい走っています」
なるほど。そりゃあ日本海行けるはずです。

冒頭の写真は、私が学生の頃の愛車です。
かくいう私も還暦に手が届く歳。
体の不具合や仕事、ややもすれば住宅事情まで理由に挙げて、パソコン相手に時間を潰す毎日もほどほどに、
錆だらけになった往年の愛車を押し入れから引っ張り出して、師を見習って走りはじめるのもいいかなと、思い始めています。

定年過ぎて仕事が暇になったらね。

注)「何時いつからやる」っていう奴に限って、やった試しがないという…



09-20-2017 06:36 PM   
#2

yap3dさんの投稿を読ませていただき、そういえば自分もあと4年少々で還暦だなあ、と今更ながら自覚してしまいました。

それにしても「師」と、いい時間を過ごされてうらやましいです。投稿に登場する「師」のように、自転車に乗ることが出来たら素晴らしいですよね。実にカッコいいですよね。​本当にカッコいいというのは、こういう方のことを言うのではないかと思います。

これからどんなふうに歳をとってどんなふうに死んでいくのだろうか?というのは時々考え、かみさんとも話をしたりしますが、生きていたとして、70代に入ってからも果たし​て自転車に乗っていられるかどうか。

境遇や考え方は人それぞれ。生き方に正解などあるはずもないのですが、70歳を過ぎて体がある程度動くとしたら、自分はどうしているだろうか?もしかしたら、自転車をやめ​て地域活動と山歩きに専念しているかも知れないなあ、と思うことがあります。

それにしてもyap3dさんの自転車。パーツが懐かしいです。吉貝のブレーキレバー、ナショナルの定番ライトなど、全体の雰囲気が本当にいいですね。細山製作所の細山さん​が仰るには、現代の自転車の骨格はすでに1960年台に完成されてしまっている、と。yap3dさんの自転車も現代に立派に蘇るのではないかと勝手ながら想像します。


サドルは有明ジャガーでしょうか?


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09-20-2017 10:01 PM   
#3

(09-20-2017 06:36 PM)守衛のおじさん さんは次のように書きました:  yap3dさんの投稿を読ませていただき、そういえば自分もあと4年少々で還暦だなあ、と今更ながら自覚してしまいました。

それにしても「師」と、いい時間を過ごされてうらやましいです。投稿に登場する「師」のように、自転車に乗ることが出来たら素晴らしいですよね。実にカッコいいですよね。​本当にカッコいいというのは、こういう方のことを言うのではないかと思います。

これからどんなふうに歳をとってどんなふうに死んでいくのだろうか?というのは時々考え、かみさんとも話をしたりしますが、生きていたとして、70代に入ってからも果たし​て自転車に乗っていられるかどうか。

境遇や考え方は人それぞれ。生き方に正解などあるはずもないのですが、70歳を過ぎて体がある程度動くとしたら、自分はどうしているだろうか?もしかしたら、自転車をやめ​て地域活動と山歩きに専念しているかも知れないなあ、と思うことがあります。

それにしてもyap3dさんの自転車。パーツが懐かしいです。吉貝のブレーキレバー、ナショナルの定番ライトなど、全体の雰囲気が本当にいいですね。細山製作所の細山さん​が仰るには、現代の自転車の骨格はすでに1960年台に完成されてしまっている、と。yap3dさんの自転車も現代に立派に蘇るのではないかと勝手ながら想像します。


サドルは有明ジャガーでしょうか?

本当に、いい時間が過ごせたと思います。

守衛のおじさんさんより一足先に還暦を迎える私ですが、今は今のことでいっぱいいっぱい。
師とお話ししなければ、何も考えていなかったかもしれません。

実は、師とお話ししている最中は普通の雑談という雰囲気で、気負いがなく、マイペースな毎日を送られているように感じました。
自宅に帰ってからしみじみと、あんな風に過ごせたらいいなと。
そこから学生時代を思い出して、古い写真を引っ張り出した次第です。

サドルは Unicanitor です。一番ソフトなNo.4で、当時いちばん具合の良いサドルでした。
現状は表面の革がカサカサになっているので、再生できるかどうかも怪しいところですが、脚力の衰えた今となっては固いかもしれません。

当時の規格の部品が手に入る内に、再生に着手しないと…


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